佐々木美術店





〈 注) このBlog著者は佐々木美術店use店主・佐々木秀典です〉








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2014年3月20日木曜日

『君に何があろうとも 逆に良いところしか見えない』

浅草は全く知らない
その為 わかりやすい 駅近くのミスタードーナツと云う割り切った大衆的喫茶店を待ち合わせ場合にした

H子とは頻繁に会う関係ではないが
会う時は いつも都心を外す
今回は浅草だ

H子は 待ち合わせには必ず遅れる
仕事には絶対に遅刻はしない
その分 プライベートに無理はしない
そんな H子も何もかも僕は受け入れている
いや それが好きなのだ

ミスタードーナツでの待ち合わせ
遅れる事はわかっていたのだが
冬のアイスティーが一杯飲み終わった
いつもの様に 30分以上待ったところで携帯電話が鳴る
ハイハイ 着いたな と 心おどらせて
Sは電話に出た

H子・「S? 今どこに居る?」

は? そんなもん浅草に決まってるじゃないの! 浅草で待ち合わせしたんだから!と思いながら

S・「え? 浅草だよ どうしたの?」

H子・「そうなんだ もう着いてんだ」

着いてんだ って  待ち合わせしたのだ  当たり前だ
しかも待ち合わせ時間を過ぎている

流石に今回はビックリした
ビックリしただけで 嫌にはなる事はありえない

ビックリして そして その後 忘れる事の無い幸せな思い出になるのだが…


S・「着いてるよー どうしたの?」

H子・「なんか 具合が悪い感じだから今日断ろうと思ったけど もう着いてるなら 今から用意して行くわ」

???

Sは2時間以上 いや 3時間くらい退屈で ワクワクした時をミスタードーナツで
また アイスティーを啜りなが待つ事になる



Sは待つ事が嫌いだが
大抵の場合いつも待つ
何故なら 待ち合わせ時間より早く着いてしまうから
この事で いろいろな人
いろいろなお店やギャラリーなどに
何度も迷惑をかけている


H子を待つ事は全くといってよい程に嫌ではない
ここにSの差別的で不平等さが見えてくる


ミスタードーナツの自動ドアが開くたびに
ハッ! と 期待を膨らませながら2時間経過

まだH子は来ない

それは当たり前だった
だいぶSが待った後に
H子から連絡があり
そこからH子は外出の用意をしてこちらに向かうのだから…
それも 具合が悪いのだ…

自然に 
具合が悪いなら今日はやめよう
と いう話にはお互いにならなかったのが不思議であり 
そして
そこに違うとはわかっていながら
その不思議がH子がSに好意があると都合の良い勝手な妄想を掻き立てるのだった
絶対無いとわかっているのに…

今までの待ち時間に
何百回ミスタードーナツの自動ドアが開閉しただろう

そんな少し集中力が切れていた頃だった



ファ〜〜

先程までとは明らかに違く 質の良い優しい期待のドアが開いた


あっ! 来た!
そちらを見る少し前からそんな感覚があった

その刹那な時だけ 
ミスタードーナツの自動ドアは変身した
↓↓↓↓↓
(after)

さっきまの自動ドアとは全く変わり
自動ドアの開くスピードがゆっくりと華麗に滑らかになっていた
まるでパークハイアットのエレベーターが開く感じで重厚でゆっくりと…





(見てもらう必要はないのだが ちなみに before)



それはSだけではなく 
ミスタードーナツの店長を含む社員
アルバイト全員と
お客さん全員も感じていた

お客さんの会話はピタッと止まり
店内になんとなく流れていたカントリーな有線放送の音までもが止まったのだ



そして
憂鬱な顔色をしたH子が
重厚な自動ドアから現れた



〜つづく〜


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