「気まぐれ玉」をつくる少女

私はお天気屋さんの
気まぐれ少女
気分によって 布を選び
天候に左右された精神で布を切り替えし
絶好調の時に布を裁断し
センチメンタルな気持ちで縫い合わすの
ある一定の人としか会わないし 会えない
後は関係ないの
決して生き急いでる訳でもないし
長生きしたいとも考えたことはないわ
でも 田舎でちゃぶ台広げて
ご飯食べて お酒飲んではゴメンね
勿論美味しいだろうけど 私には合わないわ
私は刺激とひらめきが欲しいの
だから 歩くわ
だから 本を読むわ
だから 人と話すわ
誰でもではないけどね
私はこの長方形のガラスケースを 気まぐれ玉でいっぱいにしたいの
ただそれだけよ
何故だかなんて私にもわからないわ
したいからするの
だから 私の気分は凄く大切なの
気分が悪いと出来ないから
私の思考は常に私のことね
だから楽しいのよ
そんな私でも 時間にはうるさいわね
時間にルーズそうに思われがちなんだけど
時間は私にとって大切なの
お酒は飲むわよ
勿論今は飲んでないわ
お酒を飲むと オフになるの
だから お酒は飲むの
お酒で自分を誤魔化したりはしないわ
だって オフはオフで楽しいじゃない
手に入れたいのは 気分転換ね
一度気分が悪くなると なかなか治らないの
ひで君ニッキ飴いる？
気分が悪いと 気まぐれ玉が出来ないのよ
それが嫌な事ね
気まぐれ玉が出来ないのはダメなことよ


・解説・
これは 気まぐれ玉をつくる少女のインタビューなんですが
彼女は「気まぐれ玉」を
『つくる』と言わない
『出来る』と語る
彼女とは 対談的な事はできないと思います
彼女が話す時は自分の事を一方的に話しますから
こちらは聞く事しかできないのです
彼女の発する自分の意見は常にポエジイであり
つい 聞き入ってしまう
正直 夕食を誘いたいが そんな隙は一切無い
100％断られる自信すらある