佐々木美術店





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2014年2月1日土曜日

出ました! また短編小説






〜美しき偶然の出会いでさえも その柵の思考は覆せない  (偶然?)〜



或るいつもの交差点で
自転車にまかがり 信号が変わるのをただ 憂鬱な気持ちで待っていました

その日は 晴れの日の青空に比べると
好き嫌いではなく 
汚れた空色でした
どんよりと曇った そんな時間でした

右から左方向へ路面電車が滑って行きました
すると のっぺりとした僕の視界の少し右側で
しっかり見えたんです

路面電車のアンテナと路面電車の電線との間で
火花が散ったのを見たんです

不思議なことではないでしょう
電気が通っているわけですから

でも とてもキレイだった

だから 右側へ滑り行く路面電車をずっと目で追いかけていました

しかし
あの刹那な時だけで それ以来一度も火花は散りませんでした

あの時の僕は
「あの火花は 良いことだった」
とは 全く思わなかった

むしろ 何か良くない事が起きる報せ?
訃報か?
と 感じていたことを覚えている

「キレイな火花だ」とは感じられたのに


佐々木秀典







説)
きっと私は誰よりも彼のことを知っているだろう
彼は「悲しみや儚さの隣にこそ美がある」と云うことを
自分なりになんとなく捉え そんな自分にどっぷり酔いしれていたのでしょう
今もなお 形を変え酔いしれているでしょうね
彼は きっと自分に酔いしれることで 何かに気づくのかもしれません
悲劇が好きで 悲劇を見ているうちに
悲劇に自分が飲まれてしまう
少なくもと2012(冬) 彼は 憂鬱に苛まれていないと言うと 嘘になるような状態だったのだろうね
人は 一年の四季の特徴や天候 天気があるように
その時の その日の その時期の
天候や天気がある
天候とは気分で
天気とは気持ちです
そう考えるとわかりやすい
天気は毎日 時間によって変わる
天候とは もう少し大きくゆったりとした動きで コロコロ変わることではないのです
だから 憂鬱な気分の時は イヤな気持ちになりやすい
健康的な気分な時は いい気持ちになりやすい
それだけの事なのです
その路面電車の火花を見た時の彼は気分が悪く
しかも気持ちも悪かったのだろうと思う
ただ 事実だけで言うならば
それだけなんです

×××××

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