佐々木美術店





〈 注) このBlog著者は佐々木美術店use店主・佐々木秀典です〉








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2014年1月13日月曜日

『谷崎のように 
瓶からゆっくりトロリと黄金色のやわらかく垂れる蜂蜜のようなエロティシズムに心を奪われて』





従姉妹と云う微妙な距離感の中でわき起こる一方的に広がるエロティシズム

なんともなく頼んだ従姉妹のKちゃんのその言葉を
当時中等教育学生の僕は はじめ理解が出来ないでいた

Kちゃんはワンピースの水着を着て椅子に座り
腕や足には 白くゆるい液体の脱色剤が塗られていた

「何してるの?」
純粋に出て来た言葉とは裏腹に
その白く塗られた手足に美しいと思う心は
隠しきれてはいなかっただろう

僕は その白く塗られた手足に目を奪われ輝かせていると
「Hくん? これ背中に塗って」
え? 僕は人の肌に白くゆるい液体など塗った事はなかった

後ろ髪を両手で前に抱え込むKちゃんのうなじが露わになると
僕は悪い意味ではなく ゾッとした
首すじからゆっくり背骨の上を下に向けて筆を滑らせる
数本垂れているその細くて長い髪と
背骨に沿った白くゆるい液体
「Kちゃん? どこまで塗るの?」
「うぶ毛がはえてるところ全然」
するとKちゃんはワンピースの水着の肩紐を肩から腕にスルッと下ろした
僕はもう 何もわからなくなりかけていた
自意識は かろうじてあったが気を失っていたかもしれない

僕は首すじから肩から腕にかけて
その肩幅の狭い肌にまた筆を滑らせる

その筆の刷毛目から垂れる白くゆるい液体を
筆で拾いながら 肩から天使の羽の形に見えた背中の骨の上へ
そしてそのまわりまでも

僕は やっとの思いで塗り終わった
次のKちゃんの指令が出るまでの時間 
何をしていたかなど 全く覚えていない

「Hくん?」
はっはい!
僕はもう 気が動転している為 敬語になってしまった
「染まってるか見て?」

また僕はKちゃんの後ろにまわる
背骨の上の白くゆるい液体を指で拭ってみる
僕の指は薄く白い皮膚に触れ その指をスライドさせる
あらわれた細く青い血管が浮き出てている肌には
細く短いうぶ毛が黄金色に染まっていた

そしてKちゃんはシャワーを浴びに行ったのだ
シャワーがその白く皮膚が薄く血管が青いく浮き出てる肌に当たる音と すりガラスごしのぼんやりとしたシルエットだけでも
じゅうぶん僕には刺激的だったのに

僕の初めて 美しい
と 云う感覚をおぼえた瞬間であったのに…

もう 
あの美しい 白くゆるい液体が垂れる背骨を見てしまった僕は
もう
それだけでは もう…

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