~連続シリーズ~ 《生えるバージョン》
まるで 升がアイビーや蔦が延うように 机の足から 隣の棚まで行ってしまった 別に升は毒がある訳でもなし 逆に面影があっていいくらい
壁のひび割れのように少しづつ延びて行く
升はやがて 空間を覆い尽くすだろう いいじゃないか
しかし 升は少しづつしか延びていかない
でも 空間を覆い尽くす
「升の部屋」と名付けられたその部屋は いったい何を伝えたいのか
「いや ただ勝手に升が延びて行っただけだ」 では説明がつかない
だって こんなに升が部屋全体になる前に 採ってもよかった訳だし・・・
「升が勝手に延びたかもしれませんが あなたは それが良かれと思ってたし 逆にもっと延びろ! と 思ってたんですよね?」
「そうかもしれません いや そうです 望んでいました 自然に無作為に延びる升を喜んでいました」
「では 自然に無作為に延びる事をわかっていて つまり作意的に延ばしていたんですね」
「そうです しかし 自然に延びるモノを作意では伸ばせない やはり 自然に無作為にしか升は延びないのですよ」
「最後に質問します あなたは今 アルコールを飲んでいますか?」
「いいえ よく問われますが 一滴も飲んでいません」
0 件のコメント:
コメントを投稿