佐々木美術店





〈 注) このBlog著者は佐々木美術店use店主・佐々木秀典です〉








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2010年4月28日水曜日

升のお話


~連続シリーズ~ 《生えるバージョン》

まるで 升がアイビーや蔦が延うように 机の足から 隣の棚まで行ってしまった 別に升は毒がある訳でもなし 逆に面影があっていいくらい
壁のひび割れのように少しづつ延びて行く  
升はやがて 空間を覆い尽くすだろう  いいじゃないか
しかし 升は少しづつしか延びていかない
でも 空間を覆い尽くす
「升の部屋」と名付けられたその部屋は いったい何を伝えたいのか
「いや ただ勝手に升が延びて行っただけだ」 では説明がつかない
だって こんなに升が部屋全体になる前に 採ってもよかった訳だし・・・
「升が勝手に延びたかもしれませんが あなたは それが良かれと思ってたし 逆にもっと延びろ! と 思ってたんですよね?」
「そうかもしれません  いや  そうです  望んでいました  自然に無作為に延びる升を喜んでいました」
「では 自然に無作為に延びる事をわかっていて  つまり作意的に延ばしていたんですね」
「そうです  しかし 自然に延びるモノを作意では伸ばせない  やはり 自然に無作為にしか升は延びないのですよ」
「最後に質問します あなたは今 アルコールを飲んでいますか?」
「いいえ  よく問われますが 一滴も飲んでいません」

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